カルシウムだけでは足りない──吸収の鍵はビタミンD

　「カルシウムを摂れていれば大丈夫」
と思っていませんか？
実はこれが、大きな勘違い。

カルシウムは身体に吸収されないと、まったく役に立ちません。

その吸収のスイッチを押しているのが、これまで第35話から見てきたように「ビタミンD」です。

ビタミンDは、
　・腸でカルシウムを吸収しやすくする
　・血中濃度を保つ
　・骨に送り届ける
　・カルシウムイオンとして働く準備をさせる
という、骨と神経の「司令塔」のような役割をしているのです。

だから、どんなにカルシウムを摂っても、
ビタミンDが不足していると…、
ただ通過して終わり、吸収率は10〜30％まで落ちます。

特に女性や子どもはビタミンD不足になりやすいのです。
成長期の子ども、デスクワーク中心の大人、日焼けを避ける若い女性は、驚くほど太陽不足になりがちです。

　「カルシウム ＋ ビタミンD」は、セットでひとつの栄養として機能し、体内にカルシウムイオンを届けます。
片方だけでは、生命エンジンは回らないのです。

太陽不足と低カルシウムが招く不調スパイラル

太陽不足と低カルシウム（カルシウムイオンの不足）が重なると、身体はどうなるのでしょうか。
これが意外と深刻で、しかも自分では気づきにくい。

●よくある不調
　・肩こり、腰の重さ
　・睡眠の浅さ
　・イライラ、気分の落ち込み
　・骨密度の低下（特に女性）
　・風邪の治りにくさ
　・集中力・思考力の低下

なぜこうなるのか？
　ビタミンD不足によりカルシウム吸収が落ちる
　　↓
　血中カルシウム濃度を保つため、身体は“骨からカルシウムを取り出す”
　　↓
　骨が弱る・疲れやすい・回復力が落ちる
　　↓
　カルシウムイオンが不足し、神経伝達や筋肉の反応も鈍くなる
　　↓
　さらに活動量が減り、太陽を浴びる時間が短くなる
　　↓
　またビタミンDが不足…
という 負のスパイラル が完成してしまいます。

特に子育て中のママや、デスクワーク中心のビジネスパーソンは、このスパイラルに入りやすい。

でも逆に言えば、
　これを断ち切るだけで、生活が見違えるほど変わるのです。

今日からできる ビタミンD × カルシウム 最適化術

難しいことは必要なし。ポイントは、

　「ほんの少しの太陽 ＋ 吸収されるカルシウムイオン」の2つだけです。

① 朝の5分だけ外に出る

日焼け止めを塗っていてもOK。
手の甲だけでも日光に触れるだけで、ビタミンD合成は進みます。
5〜10分で十分。

② 昼休みに「光の当たる席」へ移動

屋内でも、窓際ならビタミンD生成の手助けになる。
光は身体のリズムも整えてくれます。

③ カルシウムは「吸収される形」で摂る

吸収しやすいものを選ぶことが大事。
特にカルシウムイオンの形なら、溶けやすく吸収されやすいので相性がいい。

④ たまに「散歩」という名の充電時間

実は、歩くと骨に軽い負荷がかかり、カルシウムイオンの働きもよくなる。
太陽×歩行は、20億年の生命システムが一番よろこぶ組み合わせです。

⑤ 子どもは特に「外遊び ＝ 骨の成長タイム」

ゲームもいいけど、太陽の下の30分は成長ホルモンや骨の形成に直結。
大人より効果が高いので、できるだけ日常に混ぜてほしい。

難しいことをしなくても、毎日たった1～2％の行動を変えるだけで十分です。

太陽・食事・生活習慣。
ほんの少し変えるだけで、骨も気分もパフォーマンスも変わる。
──20億年の生命エンジンを味方にする一番シンプルな方法です。