免疫が元気かどうかは、骨の生産ラインで決まる

血液の中でも、特に免疫に関わるのが白血球。風邪ウイルスを見つけたり、バイ菌を処理したり、炎症をコントロールしたりする、いわば「体を守るプロのチーム」です。

この白血球が元気かどうかは、骨髄の働きがちゃんと動けているかで決まります。白血球の数、質、反応の速さ──それらの全部が骨の中で準備されています。
ここでカルシウムイオンが重要になります。

免疫細胞が動き出すスイッチは、前話（第18話）で話した通り カルシウムイオンの流れ。でも実は、骨髄の細胞が成熟し、分化し、戦える形になるためにも、カルシウムイオンのバランスが不可欠なんです。

さらに、
　● ストレス
　● 睡眠不足
　● 運動不足
　● 栄養の偏り
これらのダメージが溜まると、最初に落ちやすいのが“免疫の生産ライン”。

その結果、
　「最近風邪が治りにくい」
　「疲れてないのに体が重い」
　「やたら眠い」
といった“なんとなく不調”が起きやすくなります。

免疫の勢いは、骨の勢いそのものなんです。

骨はカルシウムの倉庫であり、配送センターでもある

骨はカルシウムの貯金箱──これは多くの人が知っています。でもその裏で、骨は カルシウムイオンの調整センター でもあります。筋肉を動かすとき、脳で考えるとき、心臓が鼓動するとき、免疫が動くとき。そのたびに必要になるのがカルシウムイオン。

でも体の中に“常に必要量が溶けている”わけではなく、不足すれば 骨から微量が供給される 仕組みなのです。
　● 仕事で集中力が落ちた瞬間
　● 運動で足がつりそうになった瞬間
　● 風邪のひき始め
　● 生理前のだるさ
　● 寝不足で頭が回らない朝
こんなときも、骨は静かにカルシウムイオンを調整しています。

まるで「必要なところにすぐ送り届けるドローン便」のように。しかし、睡眠不足やストレスが続くと、この配送システムが乱れ、
　「今日はなんか調子が出ない」
という悪循環につながります。

骨は「硬いだけの器」ではなく、免疫・血液・イオンの守護神みたいなオールインワン臓器だと言っても大げさではありません。

骨の工場を強くするために、今日からできること

骨の働きが落ちないようにする方法は、じつは難しくありません。むしろ、静かな習慣の積み重ねが、いちばん骨に効きます。

● 睡眠（骨の修復と血液生産のゴールデンタイム）

深い睡眠は骨髄の回復と、骨の再構築を支えます。寝不足の日が続くと免疫まで落ちるのはこのせい。

● 適度な負荷の運動（骨は圧力で強くなる）

歩く、階段、軽い筋トレでOK。骨は刺激を受けると強くなり、血液工場も活気づきます。

● カルシウム × マグネシウム × ビタミンD のバランス

吸収・活性・運搬の三つがそろうと、カルシウムイオンが使える形になります。

● 温める（冷えると骨の血流も低下）

靴下や半身浴、白湯など“小さく温める習慣”が骨髄の働きを守ります。

どれも特別なことではありません。でも、この積み重ねが骨の中の工場の生産性を大きく変えます。
結果として、免疫も、イオンバランスも、日中のパフォーマンスも安定していくのです。