夜ふかしが続くと骨が弱る──そのメカニズム

夜ふかしが続くと、「なんとなく疲れが残る」だけでなく、実は骨のパフォーマンスにも静かに影響が出てきます。睡眠不足のとき、体は交感神経（＝興奮モード）が優位になり、成長ホルモンの分泌がガクッと落ち込みます。

そうなると、骨芽細胞への「働け！」という合図が弱くなってしまい、新しい骨を作るサイクルがうまく回らなくなるのです。

さらに、眠りが浅い日が続くと、体はカルシウムイオンのバランス調整にも余裕がなくなります。カルシウムイオンは骨だけでなく、心臓・筋肉・神経でも使われます。

睡眠が浅いと、神経の興奮を抑える働きが弱まり、カルシウムイオンが落ち着く暇がなく使われ続ける状態に。
その結果、
　・骨づくりの作業効率が落ちる
　・骨への補給が追いつかない
　・骨密度がじわじわ低下
という流れにつながりやすくなります。

若い人でも、夜ふかし週間が続くだけで骨密度が落ちるケースは珍しくありません。骨は「その日眠れたかどうか」に驚くほど左右されるのです。

子ども・大人・女性で違う睡眠と骨の発達バランス

感骨のリモデリング（＝一生続く骨の作り替え）は、実は年代や性別によって“睡眠との関係性”が少し違います。

●子ども（成長期）

骨密度を“ぐん”と伸ばす時期。カルシウムイオンの利用量が大人より多く、成長ホルモンも睡眠中に大量に出ます。つまり、寝不足は骨づくりの機会損失。背が伸びにくい・姿勢が悪くなる…などにも影響しやすい。

●20〜40代の女性

生理周期・妊娠・産後などでホルモンが変動しやすい年代。骨の維持に必要なミネラルの需要が増える一方、睡眠不足が続くと“骨密度の下降スピード”が早まりやすい。美容（肌・髪）にも睡眠が直結するので、ダブルで影響。

●40代男性・女性（プレ更年期〜更年期）

ホルモン量の変化で骨密度の低下が加速する年代。ここで睡眠不足が重なると、
・骨の修復量が減る
・カルシウムイオンの調整が乱れる
などの影響で、骨の老化が一気に進むことも。

つまり年代が違っても共通して言えるのは、睡眠は、骨にとって一番の「栄養タイム」であるということ。

寝ている間のカルシウムイオンの動きが、骨の未来を決めると言っても過言ではありません。

今日からできる骨を強くする睡眠のつくり方

夜は「骨のための睡眠」といっても、大げさなことはありません。
カルシウムイオンのリズムが整いやすく、骨芽細胞が働きやすい夜の環境をつくれば、OKなのです。

● 寝る前のスマホを10分だけ減らす

まずは10分でOK。興奮神経が落ち着きやすくなります。

● 寝る1時間前に部屋を少し暗く

暗い環境は成長ホルモン分泌のスイッチになります。

● 夕食は寝る3時間前までに

食後すぐに寝ると骨の修復が遅れやすい。

● 軽いストレッチでカルシウムイオンの流れを整える

ガチガチの筋肉は眠りを浅くし、骨づくりの邪魔に。

● ミネラル豊富な食事・水分を意識

カルシウムイオンの動きが整うと、骨への補給も効率的に。

これらはすべて、骨が夜に働きやすい環境を整えることにつながり、結果として、骨密度の維持・向上に直結してくれます。